ブルーインパルスの色付き煙。塗料の付着被害と賠償、カラースモークの歴史をたどる。

東京オリンピック・パラリンピック2020では、色付きの煙(カラースモーク)でのフライトが行われました。

しばらくの間カラースモークの使用は停止されていたので、約20年ぶりの復活にファンは大喜びしたに違いありません。

私もその一人だったのですが、ですがぁ・・・

残念ながらその後、塗料の付着トラブルが発生してしまいます。

一言で色付き煙(カラースモーク)と言っても、トラブルあり。復活あり。これまで色々あったのです。

今回の記事では東京パラリンピック2020で起こった塗料付着トラブルと、いろいろあったカラースモークの歴史についてまとめました。

目次

東京パラリンピック、色付き煙(カラースモーク)の塗料付着トラブルとは?

パラリンピック開会式当日はお天気が曇りでした。

2021年8月24日の東京パラリンピック開会式当日、ブルーインパルスの祝賀飛行が行われました。

フライトを終えたブルーインパルスは、予備機も含め埼玉県の入間(いるま)基地へ戻ります。

その後「車に染料が付いて取れない」といった問い合わせが、防衛省に多く寄せられました。

一体何が起こったのでしょうか?

被害の程度と実際の画像

問い合わせの多くは、入間基地周辺の埼玉県狭山市・所沢市からのものでした。

「車に塗料が付いた」との内容ですが、どんな汚れなのか?ツイッター画像をお借りましました。

赤、緑、青の0.5ミリ程度の塗料がついているのが分かります。

一つひとつの汚れが大きいわけではありませんが、白い車だと目立ちそうですね。

問い合わせ件数は390件、車両約1,100台の被害がありました。

カラースモーク何でできている?(成分)

カラースモークは「スピンドルオイル」という油に、専用の塗料を混ぜてつくられた物です。

防衛省によると身体や環境への影響はほぼなく、安全性は問題ないとのこと。

ただ油なので洗う程度では塗料はとれず、再塗装が必要となります。

染料付着トラブルの原因

原因は低高度でカラースモークを使用したことです。

使用には高度約300m以上が適正と考えられていたのですが、入間基地周辺では高度30メートルで使用してしまい、染料が車などに付着という事態に。

これだけ読むとパイロットに責任がありそうですが、

防衛省の発表(2022/2/17)によると、そもそもカラースモークの使用基準の規定が設けられていなかったそう。

そのため関係者のカラースモーク使用基準が希薄となり、今回の事態を引き起こしたと考えられています。

低高度でフライトしたパイロットは「予備機」でした。

トラブルなくパラリンピックでのフライトを終えると、予備機に搭載されたカラースモークは余ってしまいます。「だったら住民に喜んでほしい」と入間基地周辺でカラースモークの使用が計画されていました。

カラースモークはオリンピック・パラリンピックに使用が限定されていたのです。

塗料付着トラブル後の対応、賠償は?

事態を受けて、航空自衛隊ではお問い合わせ窓口を設置。

隊員が直接伺い、被害状況の確認、染料が原因のもとの認められた自動車には損害賠償が行われました。

再発防止のため、スモークの使用基準について2022年に規定化されました。また飛行計画のチェック強化、教育による風化防止などの対策がとられました。

飛行計画を承認した部隊指揮官を減給、計画作成を担当した飛行隊長が訓告、パイロット4名が注意などの処分を受けました。

ブルーインパルスの色付き煙(カラースモーク)の歴史

ブルーインパルスが発足したのは1960年(昭和35年)

研究開発が進められ、1961年に浜松北基地開庁3周年記念式典でカラースモークが初披露されました。

著作者:US Gov Employee パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2716978による

初代ブルーインパルスF-86Fはカラースモーク。

F-86Fの思い出いえば、東京オリンピックは欠かせません。

1964年の東京オリンピック開会式では見事な五輪マークが描かれましたね。

画像引用:足短かおじさんのブログ

これまでのオリンピックにはないアトラクションとして世界中から注目されました。

当日の成功までにはいろいろありました。

※いろいろの内容を知りたい方は下のボックス「+」をクリックしてくださいね。簡単にまとめました。

東京オリンピック成功までのいろいろ

当初は「ブルーインパルスはスモーク引いて通過(航過飛行)してくれ」との要請だったのですが、後に「オリンピックマークを書いてよ」に変更されました。

あと15時10分20秒スタートでお願いね。
場所はロイヤルボックス(特別席)正面でよろしく。
あと全景が見えるようにうまいことやって。

細かい注文が次々と出てくる、出てくる。

成功させるべく練習するものの上手くいかず、思うように五輪マークは描けません。結局そのまま本場の迎えることに。

さらには黒色のカラースモークの発色が上手くいかず、あーでもないこーでもないと試行錯誤。
なんとか完成したのは本番の10日前だったそう。ギリのギリ!

オリンピック前日は天候が土砂降り。

「こりゃ明日も雨で、開会式は中止だな」と判断したパイロットは完全にオフモードでしたが、なんと翌日は見事な晴れ!慌てて入間基地に移動しました。

決して万全とはいえないコンディション。色んな意味でギリギリな状況。

本番どうなるか?と思われましたが、蓋を開けて見れば過去一番の素晴らしい出来栄え!

閉会式もフライトの打診をされるも「もう成功できるかわからない」と辞退されたそう。

本番の成功がどれだけギリだったが分かるエピソードですね!

他にも大阪万博で「EXPO`70」の文字を描きました。

2代目ブルーインパルスT-2時代もカラースモークです。

著作者:spaceaero2 CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9836807による

3代目ブルーインパルスT-4もカラースモークでした。

1998年の長野オリンピックでは、第九の終わりに合わせて「レベルオープナー」という課目が行われました。

カラースモークの使用が停止される

1999年(平成11年)カラースモークが使用が停止されました。

理由は様々ありまして…

  • 染料にお金がかかる
  • カラースモークの使用にはとても手間がかかる
  • カラースモークが機体につくと除去が大変

カラースモークはお金も手間も暇もかかるようです。

さらには1998年に千歳、防府での展示飛行後「車・洗濯物に色がついた」との苦情が寄せられ、調べてみるとカラースモークが原因と判明しました。

おそらくそれがキッカケとなり、カラースモークは1999年から使用停止、その後約20年間は白いスモークでの展示飛行が行われました。

画像引用:航空自衛隊HP(https://www.mod.go.jp/asdf/index.html

白いスモークのブルーインパルス。

これはこれでとても美しいですね。青空に映えます。

ブルーインパルスのカラースモークが復活!

復活のきっかけは東京オリンピック・パラリンピック2020です。

1964年東京オリンピックの感動を再び!との思いから、カラースモークを復活させようとの機運が高まってきました。

実は諸外国のアクロバット飛行チームもスモークの使用を止めていた時期があります。理由はブルーインパルスと同じ。
(どこの国も同じような悩みを抱えていた模様)

その後改良型のカラースモークが開発され、アメリカやイギリス、イタリアなどのアクロバット飛行チームでは都市上空でもカラースモークを使用していたのです!

扱いやすく染まりにくい改良型のカラースモークを取り寄せ、カラースモークの調査、松島基地での使用試験を積重ねました。

2020年1月防衛省から、カラースモークは使用可能と発表されました!

2020年3月20日、航空自衛隊松島基地にてオリンピック聖火の到着式が開催されました。

聖火をのせた特別輸送機「TOKYO2020」号が松島基地に到着。ブルーインパルスがカラースモークで五輪マークを描きました。

当日は風が強めの晴れ。

描かれた五輪マークはすぐ消えてしまいましたが、カラースモークの復活に感動した方は多かったと思います。

著作者To kar010, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=109932350による

開催は翌年(2021年)になりましたが、東京オリンピック開会式前日の7月23日にオリンピックマークを、東京パラリンピック開会式当日8月24日にスリーアギトスを彷彿とさせる赤、青、緑3色の弧が描かれました。
※スリーアギトス…パラリンピックのシンボルマーク。

カラースモークが復活したのはオリンピック・パラリンピックのみ。

通常の展示飛行で復活とはなりませんでしたが、復活の下地は整ったと思います。

今後の展示飛行で見られるかもしれませんね。

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